週末ビデオグラファーのとある週末
2022年12月某週末。
週末ビデオグラファーの活動です。
この日の撮影は、昨年よりお付き合いをさせていただいている工務店様からのご依頼です。
前回投稿の自己紹介の記事で少しだけ触れましたが、昨年から工務店様向けのコンテンツとして「ルームツアー動画」の制作に取り組んでいます。
実際に制作した動画は下記です。
今回はこちらの撮影について流れや機材などについて書かせていただこうと思います。
この記事は下記のような方にお役立ちができると思います。
- ルームツアー動画を始めたいと考えている会社様、広報ご担当者様
- ルームツアー動画の制作をしていきたいと考えている映像製作の方
- 撮影の裏側が気になる方
使用する機材
今回の撮影で使用した機材をご紹介していきたいと思います。
カメラ
まずはカメラの紹介から。
ブラックマジック ポケットシネマカメラ
Black magic pocket cinema camera 6k Pro(通称BMPCC6KProやポケシネと呼ばれています)
※製品の公式HPに飛びます。興味ある方はぜひご覧ください。
映像制作の方以外が聞いたら「どこの何のカメラやねん!』と言いたくなるほど馴染みのないカメラのはずです。
そもそも家電量販店さんには滅多に置いていないです。
(私が実際に見かけたことがあるのは秋葉原のヨドバシカメラさんだけ。ほんとに品揃えすごいです!)
このカメラを一言で表すと、、、。
モンスターカメラ笑。
モンスターには色々な意味を含んでいます。
描写力、編集耐性、内蔵ND、バッテリー消費量、重量、大容量の記録形式etc、、、。
機材のレビューも別記事で投稿していくつもりなので、そちらで詳細を書いていきます。
映画制作の現場で使用されることもあり、個人が使うには若干持て余す部分もありますがとにかく素晴らしく上品な映像を撮ることができます。
レンズ
お次はレンズです。
こちらはSIGMAの18-35mm F1.8 DC HSM(キャノンEFマウント)
国内メーカーで、描写力に特化したレンズ作りに定評があり様々な現場で使用されています。
このレンズはBMPCCとは鉄板の組み合わせとして紹介されることが多く、多くのビデオグラファーが使用しています。
現代的なシャープな写りと高い解像感を得ることができます。
F値(明るさやボケに係る数値。数値が小さいほど明るくボケます)が全焦点域で1.8通しと、他には例を見ないこちらもモンスタースペックのレンズです。
モンスター同士を組み合わせて使用しています。
でもルームツアー動画にそんなスペックのものはいらないんじゃない?
という声をいただきそうですが、週末ビデオグラファーは下記のような哲学のもと機材選定にこだわりを持っています。
出来上がった住宅はお施主様の夢と、工務店様の並々ならぬ技術・知恵とがかけ合わさった「宝」だと考えています。
ですからこちらも撮影させていただくにあたり、ビデオグラファーとして自信を持って最高の絵を撮れると思う機材で臨むべきであると考えています。
ジンバル
ジンバルとはカメラが手ぶれをしないように乗せる機材のことです。
最近ではスマホ用のジンバルも普及し、その存在が広く知られるようになってきました。
スタビライザーと呼ばれること多いですね。
私が愛用しているのはジンバルといえば、、、のDJI社製 RS2 です。
現在は後継品の RS3 が発売されていますが、まだまだRS2を使い倒すつもりです。
RS2はジンバルとして既に完成度が高く、先に紹介した大型・重量級に分類されるカメラレンズの組み合わせを乗せても全く問題ありません。
ジンバルを使うか否かで手ぶれの度合いが全く違ってきます。
手ぶれの有無は映像のリッチさに大きな影響を及ぼしています。
手ぶれがひどい映像は慌ただしく作ったような印象を受け、それだけで見ようという気持ちが削がれてしまいますよね。
対してブレの少ないスムーズな映像は、落ちついた印象があり安心して見ることができます。
ジンバルの有無でこれだけ違うんだと感じる参考動画を貼ります。
ですのでルームツアー動画を撮る際はジンバルを使用するか、使用しない場合は手ぶれ補正の強いカメラを選ぶのがベターと考えています。
ただジンバルにカメラを乗せるた時のデメリットが一つ、、、。
このカメラレンズの組み合わせで使用した場合、撮影が終わる頃には腕と胸がかな〜り筋肉痛になっています笑。
せっかくなので帰り道ではプロテインを買って飲みましょう!
余談ですがジンバルを持って高速で走るカメラマンが一瞬話題になりました。
やばすぎです笑
金メダルは彼にあげてくださいな。
マイク
マイクにも種類がありますが、ルームツアー動画の場合はワイヤレスピンマイクを使用しています。
ジンバルと同じDJI社から出ている DJI Mic を使用しています。
とにかく便利。
スマホにも取り付けができるので、手軽にルームツアー動画を撮ってみたいという方にもおすすめできます!
面倒なことなく、ケースから取り出して襟元に取り付けるだけで簡単に録音ができちゃう。
(もちろん細かい設定は現場に合わせてしますが)
音質は賛否ありますが個人的には好きな音質だし、風防(風切音対策のモフモフ)も最初からついているので文句なしです。
マイクが2個セットですので、二人につけて録音することが可能です。
今回は案内人様と、質問者(うちの妻です)の二人にマイクをつけてもらい同時録音しています。
ドローン
ドローン業界の圧倒的王者DJI社製 Mavic3 を使用しています。
お前は回し者かというくらいDJI製品使っていますね笑。
Mavic Air2(以降Air2) というドローンも持っていますが、Mavic3(以降3)の方が出番が多いですね。
理由は一つ。
めっちゃめちゃ綺麗に撮れるからです。
Air2でも充分綺麗ですが(4Kで撮れます)センサーサイズと呼ばれる受光体の大きさが違い、3は映像の立体感や色の持つ情報量の担保が格段に違います。
Air2を「高性能トイドローン」と表現すれば、3はさしずめ「空飛ぶ一眼カメラ」と言っても過言じゃないと思います。
どれくらい違うのか見比べできる映像を載せます。
※ドローンは航空法を遵守して然るべき申請を行い撮影しています。
撮影の流れ
今回は下記のように進めていきました。
1.下見
あいさつが済んだら、現場を見させていただきます。
事前に図面をいただきある程度把握するようにしていますが、実際に下見をして写したくない物などをチェックします。
ドローンを飛ばす予定なので、周囲の電線や木の位置も把握します。
一通りチェックが済んだら機材の準備も済ませてしまいます。
2.現場打ち合わせ
撮影の流れを打ち合わせしていきます。
どの場所から始まり、重点的に撮りたいところはどこか。
あまり多くを決めすぎてしまうと出演者様がリラックスして撮影に臨みにくくなります。
重要なポイントだけは押さえ、その他はアドリブが入っていいようなスタイルを心がけています。
そのほうが出演者様のキャラクターが伝わり、親しみを持ってもらえると考えているからです。
3.ドローン撮影
ブンブン飛ばします。
と言っても事前に必要な申請はしっかり済ませ、撮影はなるべく短時間を意識しています。
想像以上に音が大きいため近隣の皆様に不快な思いさせないためです。
ドローンの写真はパンチ力があり、サムネイルに使う場合もあるので動画も写真も撮っておきます。
ドローンの撮影で気をつけていることは違う画角で撮っておくこと。
理由はドローンのカットは動画の始めと終わりに使用することが多く、同じような画角だと使い回し感が出てしまい映像が安っぽく見えてしまうからです。
例えば 真上 + 正面 + 斜め上 など。
特に真上からの写真はドローンならではの画角ですので、私はマストで撮るようにしています。
違う画角のカットを使用すれば見る側の印象は全く違ってくるので、映像の新鮮さを保つことができます。
4.通し撮影
ドローン撮影が済んだらいよいよ本編の撮影です。
打ち合わせで決めた順序にならって撮影していきます。
と言っても玄関から始まり、屋内、屋外という順で撮影することがほとんどです。
動線の理にかなっていますからね。
場所場所でカットすることもありますが、通しで撮影することが多いです。
出演者様が途切れることなく説明をできる環境になるので、自然な感じが引き出せます。
細かく中断を繰り返すと集中も続きにくくなりますし、声色や表情にもばらつきが出るリスクがあります。
不要な部分は編集でカットをすればいいだけなので、なるべく通しで撮影をするようにしています。
5.補足の撮影
通し撮影では案内人様を中心にして撮影するので、寄りの絵があまり撮れていません。
ですので通しの撮影で説明した場所の別撮りをします。
この別撮りの絵を入れるかどうかで動画の完成度がだいぶ変わってきます。
通し撮影の音声による耳への情報と、別撮りで撮った寄りの情報を目へ届けることにより、伝達できる情報量が最大化できます。
通し撮影 + 別撮 の別画角の映像を組み合わせることで視聴者に飽きさせないような効果も期待できます。
6.最終確認
撮影した映像を見ていただきます。
要望のカットは撮れているか、足りないカットは無いか。
ルームツアーが撮影できるタイミングは完成から引き渡しをされるまでのわずかな期間です。
引き渡しになった後に撮り直しをしたくなっても現実的に難しいです。
そのようなことが発生しないように現場を引き上げる前に確認をするようにしています。
撮影時に気をつけていること
何点か気をつけていることがあるのでご紹介します。
頷きながら撮影すること
一つ目は頷きながら撮影をすることです。
カメラを回す際には、なるべく話に合わせて頷くように心がけています。
無表情でカメラを回されたら緊張しますし、やりづらいですもんね笑。
基本的なことですが徹底しています。
カメラを振りすぎないこと
カメラを上下左右にむやみに振らないということです。
これは特に通し撮影に言えることなのですが、出演者様の動きに合わせてカメラを振ると完成した映像は落ち着きがなく酔ってしまいます。
このように完成段階のことをイメージしながら撮影に当たるようにしています。
物件に傷をつけないこと
超々基礎的なことですが、カメラをぶつけないこと・物を落とさないことです。
背面のモニターに夢中になっていると、少し狭い場所などではカメラをぶつけてしまう恐れがあります。
建物は引き渡し前の一番綺麗な状態。そんな状態に少しでもキズをつけるわけにはいきません。
もしものことがあったら工務店様との信頼関係に直結しますからね。
少し危ないなと思った場所で撮影をする場合は、妻に補助をお願いしています。
帰ったら一番にやること
撮影が終わり、帰宅したらどんなに疲れていてもやることが一つだけあります。
それはデータの取り込みです。
カメラから記録メディアを取り出し、PCへの取り込みを行います。
理由は取り込みまでが「撮影」という行為だと考えるからです。
万が一メディアを紛失したり、破損させてしまったらデータが取り込めません。
それは現場で映像が撮れていたとしてもすべてが無になることを意味します。
ですから無事PCに取り込むのを確認するまでは気を抜きません。
ちなみに最近のカメラは記録メディアを2枚入れて同時収録することでバックアップできるものが多いです。
しかしBMPCCはそれができません、、、。
(正確には別売りの外部収録モニタと専用メディアがあればできるですが、まだ導入していません)
ビデオグラファーにとってデータは命です。
ここまでやって週末ビデオグラファーの週末は一旦終わります。
終わりに
少し長文の構成になってしまいましたが、何かのお役立ちになれたらと思い書きました。
今後もこのような撮影の裏側・解説などの記事を投稿していくつもりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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